LEGO(以下,レゴ)を知らない人はいないでしょう。ZOME(以下,ゾム)は,玩具としての完成度で,このレゴに勝るとも劣らない組立玩具です。しかも,ゾムは単なる玩具ではありません。小中学生・高校生はもちろん,大学生でも十分利用可能な立体幾何学学習用教具でもあるのです。さらに,科学者・エンジニア・CGデザイナー等の使用にも耐え得る,非常に高度なコンストラクション・ツールでもあります。これは,NASAのエンジニアたちがシミュレーションに使用しているという事実からも,その実力を伺い知ることができるでしょう。

ゾムはアメリカにおいて,数人の天才たちの閃きと努力によって生み出されました。最初の発想から玩具としての完成まで,実に30年近くを要しています。そのあたりの歴史的経緯は,「コラム」の第6回「The History of Zome System(ゾム誕生)」をご覧ください。

レゴが,大小様々なブロックを組み立てて立体物を構築するのに対し,ゾムはコネクター・ノード(以下,ノード)と呼ばれるボール状のパーツに,数種類のサイズ・形状をもった棒状のパーツ(以下,ストラット)を突き刺して立体物(いわゆるワイヤー・フレーム)を構築します。ノードには,正三角形・長方形・正五角形の形をした,合計62個の穴があり,ここに,黄(正三角形の穴)・青(長方形の穴)・赤または緑(正五角形の穴)のストラットを差し込みます。ストラットには,色毎に数種類の長さがあり,それぞれの長さが数学的に重要な意味を持っていることにより,非常に複雑な立体物が構築可能になっています。

平面図形としては六種類の正多角形(正三角形・正方形・正五角形・正六角形・正八角形・正十角形),立体的には5種類すべての正多面体(正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体)を構築することができます。このことだけでも,これまでのいかなる組立玩具をも凌駕しているといえるでしょう。さらに,DNAモデル,バッキーボール(サッカーボールの形状,フラーレン炭素C60の分子構造),カーボンナノチューブ,様々なドーム形状,オクテットトラス構造,また,この複雑なゾムのノード自身でさえも構築できます。さらには,四次元超立体である正五胞体・正八胞体・正16胞体・正24胞体・正120胞体・正600胞体の三次元投影図も構築可能です。まさに,驚異のコンストラクション・ツールなのです。
(ゾム作品を拡大や回転可能な三次元画像 VRML で見ることができます。「ゾム VRML ギャラリー」へどうぞ。)

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