【コラム第2回】四次元キューブを作ろう(その1)

JZC事務局 編

ゾムを使って四次元キューブを作りましょう。
四次元キューブって何?
そうですね,それではまず,キューブというものから説明しましょう。キューブとは立方体,即ち,サイコロの形をした立体のことです。しかし,ここでは,キューブの意味をやや拡大し,次のように定義します。

 「各次元における直交座標方向の辺の長さがすべて等しい図形」

 まず,分かりやすく,三次元キューブというのは,

 「x座標方向の辺(たて),y座標方向の辺(横),z座標方向の辺(高さ)がすべて等しい図形」

ということになります。これは分かりますね。

 次に,二次元キューブは,

 「x座標方向の辺(たて),y座標方向の辺(横)がすべて等しい図形」

ということになります。つまり,正方形です。

一次元キューブは,

 「x座標方向の辺(たて)がすべて等しい図形」

ということになりますが,もともと1辺しかないわけですから「すべて等しい」という部分は無意味で,あらゆる線分(両端のある直線)は,すべて一次元キューブということになります。

さて,それでは,四次元キューブというのは,どんな図形でしょう。この定義からすると,

 「x座標方向の辺(たて),y座標方向の辺(横),z座標方向の辺(高さ),w座標方向の辺(?!)がすべて等しい図形」

ということになります。
ただし,この「w座標方向の辺」というのは,たて・横・高さ全てに垂直な辺ということになるわけですが,一体そんな辺があるのでしょうか?
もちろん我々の住んでいる世界,三次元空間では,そんな辺は存在しません。四次元空間に行かねば,あり得ないわけです。それでは,三次元空間上に四次元キューブを作るのは不可能じゃないかって?
いえいえ,心配はいりません。今回,我々はこの三次元空間上に無理矢理,四次元キューブを出現させます。

話が少しそれますが,人間の網膜というのは二次元ですが,それでも,我々は立体を見て,2つの目の視差と生活上の経験から,脳が判断して立体であると認識しています。これと同様,我々は脳の判断によって三次元空間上に出現させた立体を四次元図形として認識することが可能になるのです。

それでは,次のように考えていきます。(ここからゾムを使います。)

まず,初めに,0次元キューブというもの考えます。これは,方向性がまったく無いわけですから,ただの点です。

この0次元キューブ(点)をx座標方向に一定距離(aとする)平行移動させた,その軌跡(通った跡)が一次元キューブ(線分)になると考えることができます。

次に,この一次元キューブ(線分)をそれ自身と垂直なy軸方向にaだけ平行移動させた,その軌跡が二次元キューブ(正方形)になると考えられます。

同様,この二次元キューブ(正方形)をそれ自身と垂直なz軸方向にaだけ平行移動させると三次元キューブ(立方体)になります。

もう,お分かりですね。
したがって,この三次元キューブ(立方体)を,これ自身と垂直なw軸方向にaだけ平行移動させたその軌跡が四次元キューブになるわけです。
実際には,三次元空間にはw軸は存在し得ませんから,立方体を適当な方向に平行移動したもの作ります。
これが,四次元キューブの三次元空間上への投影図ということになります。

ところで,三次元キューブ(立方体)を図や写真に表すことはよくあるでしょう。これは,三次元キューブの二次元空間への投影図です。前述の三次元キューブの図・写真がこれにあたります。この場合,立体を見る位置と角度によって,様々な表し方ができます。下の図・写真も三次元キューブの二次元空間への投影図です。

それと同様,四次元キューブの三次元空間への投影図も,いろいろ作ることができます。下の図も四次元キューブの三次元空間への投影図です。

いかがだったでしょうか?
実際にゾムで作った,これらの立体を見て,触って,後はあなたの脳で想像力を働かせて,真(四次元空間上)の四次元キューブをイメージしてみてください。

次回は,この四次元キューブの展開図を作ってみたいと思います。