【コラム第3回】ゾムツール:宇宙時代の模型道具

宮崎興二(京都大学名誉教授、工学博士)

あっ、と驚く宇宙時代の模型道具、それがゾムツールである。これほどの簡単な部材でなぜこんなにまでバラエティに富んだかたちが、しかも簡単に、生まれるのだろうか。

よく見るときわめて巧妙に工夫された各部材は非常に堅固で美しく、そこから、いろいろな正多角形や正多面体はもちろんのこと、サッカーボール形から複雑な4次元の多面体など、とんでもないものまで生まれる。夢が現実になったようなもので、驚くしかない。

もとはといえば夢を現実のものにするのが得意なアメリカの建築家が奇抜な多面体ドームを考えるため発想した。それが今や世界中の最高級の芸術家から科学者までに知れ渡り愛用されて、未来の有名デザイナーやノーベル賞科学者の強力な武器になろうとしている。

残念ながらわれわれ日本人にはこんな武器を考えつくのは不可能だろう。ここには日本文化と西洋文化の大きな違いのようなものさえ感じられる。

宮崎 興二 経歴

  • 京都大学名誉教授 工学博士
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