二次元図形における「正多角形」にあたるのが,三次元図形の「正多面体」です。
「正多面体」の定義は,「すべての面が合同な正多角形で、すべての頂点に同数の面が集まる凸多面体」ということです。正多角形が理論上,無限個の種類があるのに対し,正多面体は,次の5種類しかありません。
正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体
なぜ,そうなのかを説明します。
まず,1つの頂点に集まる面の内角の個数は,最低3つなければなりません。2つ以下では立体にならないからです。また,1つの頂点に集まる面の内角の大きさの合計は,360度より小さくなくてはなりません。これもやはり360度以上になると立体にはならないからです。
すると,立体を構成する多角形が正三角形の場合,1つの内角が60度ですから,1つの頂点に集まる個数としては,3,4,5の3つの場合しかないわけです。集まる個数が6個になると360度ですから,頂点の周りが平面になってしまい,立体にはなりません。
次に,立体を構成する多角形が正四角形の場合は,1つの内角が90度ですから,1つの頂点に集まることのできる個数は,3の場合しかありません。4になると,やはり360度になってしまいますね。
同様に,立体を構成する多角形が正五角形の場合も,1つの内角が108度ですから,1つの頂点に集まることのできる個数は,3のみです。
今度は,立体を構成する多角形が正六角形の場合はどうでしょう。正六角形の1つの内角は120度ですから,3つ集まると,もう360度になってしまい立体になりません。したがって,正多面体を構成する面が正六角形以上の正多角形になることはないわけです。
まとめてみますと,
立体を構成する多角形が,
1)正三角形の場合
1つの頂点に集まる面の数が,
3個・・・正四面体
4個・・・正八面体
5個・・・正二十面体
2)正四角形の場合
1つの頂点に集まる面の数が,
3個・・・正六面体
3)正五角形の場合
1つの頂点に集まる面の数が,
3個・・・正十二面体
ということになります。
このことは,すでに古代ギリシャの時代にプラトンによって発見されていたと言われ,それでこれらの正多面体を「プラトン立体(Platonic solid)」とよばれることもあります。
次に,これら5種類の正多面体について,それぞれ辺の数,頂点の数を計算によって求めてみましょう。これは,上記の面の形と1頂点に集まる面の数から簡単に求められます。
まず,正四面体ですが,正三角形が4面ですから,単純に考えれば辺の数・頂点の数とも
3(辺・点)×4(面)=12
となります。しかし,辺については,必ず1辺を2つの面が共有していますので,実際にはその半分,
12÷2=6
が実際の辺の数になります。
また,頂点については,1頂点を3つの面が共有していますので,
12÷3=4
が実際の頂点の数になります。
同様の考え方で,
○正六面体(面の形は正四角形)
辺の数 4(辺)×6÷2=12
頂点の数 4(点)×6÷3=8
※ 1頂点を3面が共有しているので。
○正八面体(面の形は正三角形)
辺の数 3(辺)×8÷2=12
頂点の数 3(点)×8÷4=6
※ 1頂点を4面が共有しているので。
○正十二面体(面の形は正五角形)
辺の数 5(辺)×12÷2=30
頂点の数 5(点)×12÷3=20
※ 1頂点を3面が共有しているので。
○正二十面体(面の形は正三角形)
辺の数 3(辺)×20÷2=30
頂点の数 3(点)×20÷5=12
※ 1頂点を5面が共有しているので。
以上をまとめると以下の表のようになります。実際にゾムで立体を作成して確認してみましょう。ただし,正四面体・正八面体を作成するには,緑ストラット(グリーンライン)が必要です。