そうしたユニークな4次元を見せる横尾作品を集大成した「GENKYO横尾忠則」展が、今年から来年にかけて各地で開かれます。GENKYOというのは横尾画伯の過去から現在までを通観する「原郷」「幻境」「現況」を意味します。すでに神戸には故郷を記念して巨大な横尾忠則美術館ができ、香川には民家風の魅力的な豊島横尾館があって、そこへ行けばいつでも横尾作品を楽しめますが、コロナを圧倒するばかりの横尾人気は、それだけでは追いつかないようです。
添付の図は展示作品の一部です。今開かれている愛知県美術館の場合、会場には過去から現在に至る、数え方によっては数千点かもしれない、膨大な数の作品が、広大な会場に極めて幾何学的に整然と配列されています。万華鏡のようなコーナーもあって、幾何学が横尾作品を陰で支えているといった感じです。
もちろん大切なのはそうした場内構成ではなく、個々の作品の内容で、一人の人間の5歳ごろからほとんど80年間の、喜怒哀楽が入り乱れる毎日の心の中を、おそらくは隠すことなく正直に、虹に浮かぶようなあるいは夢のようなまさに4次元的な絵で見せてくれます。そこには幾何学的な西洋風でなく非幾何学的な日本風の心の中の4次元が広がっているとしか言いようがありません。
それ以上の各作品の内容については個人情報に関係するのでマル秘とします。